2014-01-01から1年間の記事一覧

意識の痛み(三)

意識をするのは痛い。 排他が他方を取り除くものならば、線引きは穴のような裂け目だ。私とあなたは突き放される。あなたも、他の存在も、遠くに感じてゆく。いる、と知るほどに。私たちは、ばらばらだった。なにもかも。

意識の痛み(二)

けれど、これには個人差がある(興味の対象にもよるだろうが)。 今、私の三つの指に挟まれているシャープペンシル。それは、何であろうか。(辞典には「鉛筆の芯を少しずつ押し出して使う筆記用具」と記載されている。)消しゴム、プラスチック、滑り止めのゴム…

意識の痛み(一)

意識は線引きをする、私とあなたがいる、と。すると、何かを(それは時間かもしれないし、空間、記憶、過去、物などかも)介しながらもパーテーションを置くように、あなたという人間と区別する。服装や髪型、顔、声、もろもろ違う、と。外見上にとどまらず性…

流れ

「椿はもう零れるくらい咲いてるのを見かけた」と、彼は言った。沢山や一杯だと記号や単位のようだと思わされた。彼が発する言葉には血や魂が通っているのだ。 ✳︎✳︎✳︎ 「あ、動いた。」 「あたり前でしょ。」 もう四、五年経つのだろうか。幼馴染と私は産後…

四月

あなたの体温が近づいてきた、と日を追うごとに思う。駅のプラットホームですれ違人々も薄着になり、半袖のTシャツ姿も時たま見かける。不本意に外套を脱がされてゆく様は、虫なら脱皮、植物なら蕾が開いたり種子が芽吹くという誕生を、桜や椿の花弁とともに…