こんなに長い夜でも、あなたの声がわたしに松明をかざして頬を色づけたそのおかげで、夕顔が咲き、街や干された服が褐色に染まるのを何十年経っても恥ずかしいと思えるのでしょう。

私のなかで滴る、 歳月をかけて凍った、氷柱のことを話そう くいしばっている 水の重み、 が、 地下へ、地下へ、と内部を蝕ばむ 私に垂れ下がった、 縫うための先端、 あくまでも、時刻という皮膚をつなぎ合わせ 気象をつかさどっていた、万年雪の、身体のそ…

私の 振動音で寝つけなかった夜、 あの棘の、 イラクサの葉汁を飲み干していた

砂を握った、 指のまたからまた流れていった かつて、 城や 複合体と呼ばれていた、私の単位 を、元に戻すため、 片目に、 水を撒き、 くちびるにまとめていく

とどのつまり、いくら自らの生死や他者への献身にかこつけて実存または現実を書く理由を美談に仕立てあげたところで、欺瞞なのだ、目にうつるもの全てを食い物にしているくせに。猫の鳴き声に触発されて「にゃー」と模倣し、利用し、擬声語にするような身勝…

神話のなかで、山脈の禍々しい起伏を、あれは罪の証で醜悪だと捉えた人たちがいた。だったら、よもや都市のうねった高層ビル群も荒々しいとしなければ。洪水を起こしたのも僕たちだった、と。

現代の世では誰しもが気軽に写真にしろ何にしろうつせてしまう、特に文章で書くような実存なんて、晴眼者にはうつされたものの劣化かつ時代遅れな風潮じゃなかろうか、と過去から今に至るまで、 ひしひしと一層大きく感じられる。物語が少しでも長く生き残っ…